電気工事会社が外国人を雇うとき、どのビザが使えるのか【2026年最新版】

京都・亀岡市の行政書士、松川正義です。
外国人の採用も検討したいが、「よくわからない」——そんな電気工事会社の経営者・採用担当者も多いと思います。実は電気工事業の場合、採用できる在留資格のパターンは限られており、かつ現場での作業内容によって「使えるビザ・使えないビザ」が分かれます。本コラムでは、2026年現在の制度をもとに、電気工事会社が外国人を採用する際に使える在留資格を採用実務の視点で整理します。


電気工事会社が外国人を雇う際の「在留資格マップ」

外国人が日本で就労するには在留資格が必要です。電気工事会社が雇用を検討する際に関係する主な在留資格は以下の通りです。

在留資格 対象となる人材 現場作業 主な特徴
特定技能1号
(建設・ライフライン設備)
電気工事の技能を持つ即戦力人材 ○(補助作業含む) 在留5年・家族帯同不可。JAC加入・受入計画認定が必要
特定技能2号
(建設・ライフライン設備)
班長クラスの熟練技能者 ○(指導・工程管理も可) 在留更新無制限・家族帯同可。試験+班長経験が必要
技術・人文知識・国際業務
(技人国)
電気系大卒の設計・管理職 △(現場補助は不可) 大学等での専攻と業務の関連性が必須。現場作業員としての雇用は不可
育成就労
(2027年施行予定)
未経験から育成する人材 ○(有資格者の監督下) 技能実習制度の後継。3年育成後に特定技能1号へ移行想定
永住・定住・日本人配偶者等 就労制限のない在留者 ○(制限なし) 職種・業務内容の制限なし。最も採用しやすい区分
よくある誤解:「技人国(技術・人文知識・国際業務)ビザなら現場で作業させてもいいのでは?」という質問をよく受けますが、技人国ビザは現場での電気工事作業に従事させることはできません。あくまで設計・積算・工程管理・技術営業などの「ホワイトカラー業務」が対象です。現場で即戦力として活躍させたい場合は特定技能が適しています。

電気工事会社に最も適しているのは「特定技能(ライフライン・設備)」

電気工事の現場で即戦力として外国人を採用する場合、特定技能1号(建設分野・業務区分「ライフライン・設備」)が最も現実的な選択肢です。業務区分「ライフライン・設備」では、指導者の指示・監督を受けながら電気通信・ガス・水道・電気その他のライフライン・設備の整備・設置・変更または修理に係る作業に従事できます。

メイン選択肢

特定技能1号|建設分野「ライフライン・設備」区分

【できること】電気工事・電気通信工事・配管・保温保冷など現場作業全般(指導者の監督下)
【在留期間】通算5年まで(更新可能)
【家族帯同】原則不可
【受入要件】JACへの加入・建設特定技能受入計画の認定・CCUSへの登録・1号支援計画の策定が必要
【人材の要件】建設分野特定技能1号評価試験(ライフライン・設備区分)+日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)の合格

長期育成・幹部候補

特定技能2号|建設分野「ライフライン・設備」区分

【できること】複数の建設技能者を指導しながら電気その他のライフライン・設備の作業に従事し、工程を管理
【在留期間】更新回数の上限なし(事実上の永続在留が可能)
【家族帯同】可能
【人材の要件】建設分野特定技能2号評価試験(ライフライン・設備区分)の合格+班長としての実務経験
【活用場面】長期在留・将来の現場リーダーや班長として育成したい場合に有効

2027年施行予定

育成就労|建設分野

【概要】2027年4月1日施行予定の技能実習制度の後継制度。未経験者を3年間育成し、特定技能1号水準の人材を育てる仕組み。
【電気工事会社への影響】現在、技能実習生として外国人を受け入れている電気工事会社は、施行後は育成就労への移行が必要。3年の育成就労期間中に第二種電気工事士の取得を目指す育成計画が有効です。
【移行】育成就労修了後、特定技能1号へシームレスに移行できる制度設計。


特定技能外国人の採用ルートは2つ

特定技能外国人を採用するには、大きく2つのルートがあります。採用担当者として把握しておきましょう。

採用ルート①

国内在住の特定技能外国人を採用

すでに日本に在留し、特定技能試験・日本語試験に合格済みの方を採用するルートです。在留資格の変更申請が必要です。日本語でのコミュニケーションが取りやすく、現場への即時投入が期待できます。求人サイト・ハローワーク・JACのマッチングシステムが活用できます。

採用ルート②

海外から新規に呼び寄せる

建設分野特定技能1号評価試験はバングラデシュ・カンボジア・インド・インドネシア・モンゴル・ミャンマー・ネパール・フィリピン・スリランカ・タイ・ウズベキスタン・ベトナム・パキスタンで実施されています。海外で試験に合格した人材を送り出し機関経由で採用し、在留資格認定証明書を取得して呼び寄せます。

採用リードタイムに注意:外国人採用を成功させる鍵は、試験スケジュールから逆算した「採用リードタイム」の管理にあります。海外からの呼び寄せの場合、JAC加入→CCUS登録→受入計画認定→在留資格申請→入国と、手続きだけで3〜5か月以上かかります。「来月から現場に入れたい」は現実的ではないため、計画的な採用スケジュールが不可欠です。

特定技能外国人を採用するまでの手続きフロー

  1. JACへの加入(正会員団体への加入または賛助会員として直接加入)※約1.5〜2か月
  2. CCUSへの事業者登録・本人登録
  3. 候補者の選定・面接(国内在住者はJACマッチング等、海外は送り出し機関経由)
  4. 雇用条件の確認(日本人と同等以上の月給制・技能習熟に応じた昇給)
  5. 建設特定技能受入計画の認定申請(国土交通省)
  6. 1号特定技能外国人支援計画の策定(登録支援機関への委託も可)
  7. 在留資格申請(変更・認定)を出入国在留管理局へ提出
  8. 雇用開始・定期届出・年次報告の継続

電気工事会社特有の注意点:電気工事士法との関係

特定技能外国人が電気工事の現場で活躍するためには、在留資格の問題だけでなく電気工事士法との関係も整理しておく必要があります。

重要:特定技能の在留資格を持っていても、第一種・第二種電気工事士の免状を持たない外国人が電気工事作業を単独で行うことは電気工事士法違反です。受入れ当初は有資格者の監督下での補助作業として現場に入れながら、並行して第二種電気工事士の取得を目指す育成計画を立てることが重要です。免状取得後は単独作業が可能になり、真の即戦力として活躍できます。
育成計画のすすめ:特定技能1号の在留期間(通算5年)を活用して、第二種電気工事士→第一種電気工事士へのステップアップを支援することが、長期的な戦力確保と定着率向上につながります。優秀な人材は特定技能2号への移行も視野に入れ、班長・現場リーダーとして育成することが電気工事会社の競争力強化につながります。

まとめ:電気工事会社が外国人採用で押さえるべき3点

ポイント①

現場作業員は「特定技能」一択

電気工事の現場で作業させたいなら、建設分野・ライフライン設備区分の特定技能が最適解。技人国ビザでは現場作業ができないため注意が必要です。

ポイント②

採用は3〜5か月前から動く

JAC加入・CCUS登録・受入計画認定・在留資格申請と手続きが多く時間がかかります。「すぐ採用」は難しいため、採用計画は早めに立てましょう。

ポイント③

電気工事士免状の育成計画も必須

採用後は有資格者の監督下での補助作業からスタートし、第二種→第一種電気工事士の取得を計画的に支援することが、長期定着と戦力化の鍵です。

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