【必見!電気工事業者さま】施工管理で外国人を雇用するための在留資格について

京都・亀岡市の行政書士、松川正義です。
「現場の施工管理を任せられる外国人を採用したい」——電気工事会社の人材戦略も転換期を迎えています。現場作業員なら特定技能が代表的な手段ですが、施工管理職は特定技能では対応できません。施工管理を外国人に任せるためには「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が適切な在留資格です。しかし技人国ビザには学歴・実務経験・業務内容の関連性という審査の壁があり、採用前に正確な要件確認が不可欠です。本コラムでは、電気工事業の施工管理職に就ける外国人を採用するための在留資格(技人国)について、経営者目線で深掘りします。
なぜ施工管理に「特定技能」は使えないのか
まず前提として、特定技能と技人国の違いを整理しておきます。
| 特定技能(建設・ライフライン設備) | 技術・人文知識・国際業務(技人国) | |
|---|---|---|
| 対象業務 | 指導者の監督下での現場作業(補助含む) | 専門知識を活かした技術・管理業務 |
| 施工管理への適用 | 不可(現場作業員としての業務に限定) | 可(工事施工図の作成・職人の指揮監督等) |
| 人材の要件 | 特定技能評価試験+日本語試験の合格 | 大学卒業(関連専攻)または10年以上の実務経験 |
| 在留期間 | 通算5年まで(1号) | 更新制(上限なし・長期在留可能) |
| 家族帯同 | 原則不可(1号) | 可能 |
出入国在留管理庁が認めた「電気工事×施工管理」の許可事例
出入国在留管理庁が公表している「技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」(最終改定令和8年4月)には、以下の許可事例が明示されています。
これは電気工事会社が技人国ビザを持つ外国人を施工管理として採用することが、適切な要件を満たせば認められることを公式に示した重要な根拠です。採用を検討する際の有力な判断材料となります。
技人国ビザの取得要件:3つのルート
技人国ビザの取得には、本人側の「学歴または実務経験」と「業務内容との関連性」の両方が審査されます。
電気系・建設系の大学卒業者
電気工学・電気通信工学・電子工学・建築学・土木工学など、施工管理業務と関連性のある学科を卒業していることが最も確実なルートです。国内外の大学・高等専門学校が対象です。海外の大学でも認められます。
関連性が認められやすい専攻例:電気工学科・電気通信工学科・電子工学科・電気電子工学科・建築工学科・土木工学科・工業高等専門学校の電気系学科 など
日本の専門学校(関連専攻)卒業者
日本の専門学校(専門士または高度専門士の称号を取得した者)が対象です。大学と異なり、専攻科目と業務内容の「相当程度の関連性」が求められ、大学よりも厳しく判断される傾向があります。なお2024年2月29日の改正により、認定を受けた専修学校の卒業者については大学と同様に柔軟に判断されるようになりました。
注意:海外の専門学校は原則として対象外です。
10年以上の実務経験者
大学・専門学校の卒業要件を満たさない場合でも、施工管理・電気工事設計・電気工事管理などの業務に関連する実務経験が10年以上あれば申請できます。学校で関連科目を専攻した期間も実務経験に含まれます。
実務経験の証明に必要な書類:過去に在籍したすべての会社からの在職証明書・業務内容がわかる書類・契約書など。転職を繰り返している場合は複数社分の書類が必要となり、書類収集のハードルが上がります。
審査で特に重視される「業務内容との関連性」
技人国ビザの審査において、「学歴・実務経験で培った専門知識と、実際に従事する業務の関連性」は最重要の審査ポイントです。いくら優秀な人材でも、この関連性が不明確だと不許可になるケースが多くあります。
関連性が認められやすい業務内容(施工管理として)
工事施工図の作成・現場職人の指揮監督・工程管理・安全管理・品質管理・工事原価管理・施工計画の立案・発注者との打ち合わせ・検査対応など。「電気工学の専門知識を用いた管理業務」であることが明確に示せるものが有利です。
関連性が認められにくい業務内容
「現場での電気工事作業(配線・接続・取付)」「単純な資材の運搬・清掃」「見積書の単純入力作業」など、専門知識を必要としない業務を主たる業務として記載した場合は不許可になる可能性があります。業務の説明書(申請理由書)の書き方が重要です。
企業側が満たすべき要件
技人国ビザの審査では、採用する外国人の要件だけでなく、採用する企業側の体制・財務状況・雇用条件も審査対象になります。
企業要件①
報酬は日本人と同等以上
「技術・人文知識・国際業務」ビザでは、同種の業務に従事する日本人と同等額以上の報酬を支払うことが必要です。月給制であることが求められ、時給・日給制は認められません。
企業要件②
会社の安定性・継続性
直近の決算で赤字・債務超過の場合は審査に悪影響を及ぼす可能性があります。会社の事業実態・継続性を示す書類(決算書・受注実績など)の準備が重要です。
企業要件③
業務内容の具体性・実在性
採用後の業務内容が具体的かつ実在することを示す必要があります。「施工管理業務」と記載するだけでなく、どの工事・プロジェクトでどのような管理業務を行うかを具体的に説明します。
企業要件④
カテゴリーによる書類省略
上場企業・カテゴリー1・2の会社は提出書類が大幅に省略されます。中小企業(カテゴリー3・4)の場合は決算書・登記事項証明書・税務署の納税証明書など詳細な書類が必要です。
採用から在留資格申請までの流れ
- 採用候補者の学歴・実務経験の確認(卒業証明書・在職証明書・成績証明書を取得依頼)
- 業務内容と専攻・実務経験の関連性の精査(不明確な場合は申請前に専門家へ相談)
- 雇用条件の決定(月給制・日本人同等以上の給与額・雇用形態)
- 申請書類の準備(在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請)
- 申請理由書(説明書)の作成(学歴・業務内容・関連性を論理的に説明する最重要書類)
- 出入国在留管理局へ申請(審査期間の目安:1〜3か月)
- 許可後、在留カードの受領・雇用開始
- 転職後14日以内に「契約機関に関する届出」を出入国在留管理庁に提出
まとめ
電気工事業で施工管理を外国人に任せるためには、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が適切な在留資格です。出入国在留管理庁の公式許可事例にも「電気工学科卒業者が電気工事会社で施工図作成・職人指揮監督に従事する」ことが明示されており、要件を満たせば十分に実現可能です。ただし、学歴・実務経験と業務内容の関連性の整理、申請理由書の作成、企業側の体制整備など、審査を通過するための準備が重要です。「自社の採用候補者はビザが取れるか」「どんな書類が必要か」など、まずはお気軽にご相談ください。
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