【深刻な人材不足】外国人の採用決定から就労開始までのフローを解説

京都・亀岡市の行政書士、松川正義です。
「外国人を現場の作業員として採用したい」と思っても、どこから手をつければいいかわからない——そんな建設業・電気工事業の経営者の方が多くいます。外国人作業員の採用は、日本人採用と違い在留資格の確認・各種届出・支援計画の策定など、複数の手続きが絡み合います。本コラムでは、採用を思い立った時点から就労開始・雇用後の管理まで、実務的なフローを時系列で整理します。


まず確認:現場作業員に使える在留資格はどれか

電気工事・建設工事の現場作業に外国人を従事させるために使える主な在留資格は以下の通りです。技術・人文知識・国際業務(技人国)は現場作業に使えないため注意が必要です。

在留資格 現場作業 特徴・注意点 採用難易度
特定技能1号
(建設・ライフライン設備)
○(補助作業含む) JAC加入・受入計画認定・CCUS登録・支援計画が必要。最も一般的な手段。 中〜高
永住者・定住者
日本人配偶者等
○(制限なし) 就労制限なし。在留資格の手続きが不要で最も採用しやすい。
育成就労
(2027年4月〜)
○(監督下での補助) 技能実習の後継制度。監理支援機関を通じて受け入れる。3年後に特定技能1号へ移行。
技術・人文知識・国際業務 ✗ 不可 現場作業不可。施工管理・設計等の専門業務のみ。誤用で不法就労助長罪のリスクあり。
本コラムのフローは「特定技能1号(建設分野)」を中心に解説します。永住者・定住者等の場合は在留資格の手続きが不要なため、日本人採用に近い流れで採用できます。育成就労は2027年4月施行予定のため、現行の技能実習制度の後継として随時確認が必要です。

特定技能1号(建設分野)採用フロー:全14ステップ

採用を思い立った時点から就労開始・雇用後の管理まで、時系列で整理します。全体の所要期間は準備から就労開始まで4〜6か月程度を見込んでください。

STEP 1

PHASE 1 ── 社内準備(採用決定前)

受け入れ方針の決定:どの在留資格で何人採用するかを決める

特定技能1号で受け入れるのか、永住者等を採用するのかを決定します。特定技能の場合は「建設分野」「ライフライン・設備区分」が電気工事に対応します。採用予定人数・業務内容・雇用形態(月給制が必須)・給与水準を社内で整理します。

所要期間:1〜2週間
STEP 2

JACへの加入申請(建設分野必須)

建設分野の特定技能外国人を受け入れるすべての企業は、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入が義務付けられています。正会員団体(日本電設工業協会など)への加入、またはJACへの賛助会員直接加入のいずれかを選びます。申請から会員証明書取得まで約1.5〜2か月かかるため、最優先で手続きを開始してください。

所要期間:1.5〜2か月(最優先で着手)
STEP 3

CCUS(建設キャリアアップシステム)への事業者登録

建設分野の特定技能外国人受け入れには、受け入れ企業のCCUS事業者登録が必須です。まだ登録していない場合はJACへの加入申請と並行して進めます。登録後は外国人本人のCCUS技能者登録も必要になります。

所要期間:1〜2週間
STEP 4

PHASE 2 ── 候補者の選定

採用候補者の確保・面接

採用ルートは主に2つです。
国内在住の特定技能外国人:JACマッチングシステム・ハローワーク・人材紹介会社を活用
海外からの呼び寄せ:送り出し機関を通じて特定技能評価試験合格者を採用
面接時は在留カード(在留資格・有効期限)と、特定技能評価試験・日本語試験の合格証を必ず確認します。

所要期間:2〜8週間(候補者による)
STEP 5

雇用条件の確定・雇用契約書の締結

以下の点を必ず確認・遵守します。
報酬は月給制(時給・日給は不可)
・同種業務に従事する日本人と同等以上の賃金
・CCUSレベルに応じた賃金水準(国土交通省公表のレベル別年収を参照)
・雇用契約書は母国語と日本語の併記が推奨されます

重要:月給制・日本人同等以上が必須
STEP 6

PHASE 3 ── 行政手続き

建設特定技能受入計画の認定申請(国土交通省)

建設分野特有の手続きです。外国人ごとに「建設特定技能受入計画」を作成し、国土交通省(建設キャリアアップシステム事業本部)に提出・認定を受けます。計画書にはキャリアアップの方針・業務内容・報酬水準を記載します。JAC会員証明書の添付が必要なため、Step2の完了後に申請できます。

所要期間:2〜4週間(認定まで)
STEP 7

1号特定技能外国人支援計画の策定

特定技能1号外国人の受け入れには、10項目の支援(事前ガイダンス・住居確保支援・生活オリエンテーション・日本語学習機会の提供・相談窓口の設置など)を定めた「支援計画」の策定が義務付けられています。自社で実施できない場合は登録支援機関への委託も可能です。

所要期間:1〜2週間
STEP 8

在留資格の申請(出入国在留管理局)

申請の種類は外国人の現在の状況によって異なります。
国内在住で在留資格変更:在留資格変更許可申請(審査期間:2週間〜2か月)
海外から呼び寄せ:在留資格認定証明書の交付申請(審査期間:1〜3か月)
申請書類には建設特定技能受入計画の認定通知書・支援計画書・雇用契約書・会社書類一式が必要です。

所要期間:2週間〜3か月(審査による)
STEP 9

在留カードの受領・入国(海外からの場合)

国内在住の場合:許可後に在留カードを受領し、就労開始が可能になります。
海外からの場合:在留資格認定証明書を本人に送付→本人が日本大使館でビザを取得→入国→在留カード受領の流れです。

所要期間:1〜2週間(入国手続き)
STEP 10

PHASE 4 ── 就労開始

事前ガイダンス・生活オリエンテーションの実施

就労開始前に、支援計画に基づく事前ガイダンス(業務内容・給与・労働条件の説明)を実施します。入国後は生活オリエンテーション(銀行口座開設・住居手続き・交通機関の説明など)を実施します。これらは支援計画で義務付けられた法定支援です。

就労開始直前〜直後
STEP 11

CCUS技能者登録・現場カードタッチの開始

本人のCCUS技能者登録を完了させ、現場でのカードタッチを開始します。就業履歴の蓄積はCCUSレベルアップ・将来の処遇改善・特定技能2号移行の基礎データになります。現場に入る初日からタッチを徹底しましょう。

就労開始と同時に
STEP 12

社会保険・労働保険への加入手続き

特定技能外国人も日本人と同様に、雇用保険・健康保険・厚生年金保険への加入が必要です。社会保険加入は建設業許可の維持要件でもあります。入社日から加入手続きを行いましょう。ハローワーク・年金事務所・健康保険組合への届出が必要です。

入社日から14日以内
STEP 13

PHASE 5 ── 雇用後の継続管理

定期届出(四半期・年次)の実施

特定技能外国人を雇用している間は、以下の定期届出が義務付けられています。
受け入れ状況に係る届出(四半期ごと)
支援実施状況に係る届出(年1回)
雇用契約に係る届出(変更が生じた場合)
届出を怠ると在留資格の更新に影響します。

雇用継続中は毎期実施
STEP 14

在留資格の更新・特定技能2号への移行計画

特定技能1号の在留期間は通算5年です。在留期限の3か月前から更新申請が可能です。優秀な人材については、特定技能2号(更新回数上限なし・家族帯同可)への移行を視野に入れた育成計画を立てましょう。電気工事士の取得・CCUSレベルアップ・班長経験の積み上げが2号移行の鍵となります。

期限3か月前から更新準備

全体スケジュールの目安

時期 主な手続き 注意点
採用決定直後〜
(Month 1)
JAC加入申請・CCUS登録・候補者探し JAC加入は最優先。最も時間がかかる
Month 2〜3 JAC会員証取得・建設特定技能受入計画認定申請・支援計画策定 JAC完了後でないと受入計画申請できない
Month 3〜5 在留資格申請(変更または認定) 審査期間は案件により大きく異なる
Month 5〜6 在留カード受領・入国・事前ガイダンス・就労開始 社会保険加入・CCUSタッチを初日から
就労開始後〜 四半期届出・年次届出・在留更新管理 届出漏れは在留更新に影響する
「すぐに現場に入れたい」は難しい:特定技能外国人の受け入れは、準備から就労開始まで最低でも4〜6か月かかります。現場の人員計画から逆算して、早めに手続きを開始することが不可欠です。「来月から現場に入れたい」という状況では間に合わない可能性が高いため、採用を思い立ったらまず専門家に相談することをおすすめします。

永住者・定住者を採用する場合のシンプルなフロー

就労制限のない在留資格(永住者・定住者・日本人の配偶者等)を持つ外国人を現場作業員として採用する場合は、在留資格の手続きが不要なため、日本人採用に近いシンプルな流れになります。

Step 1

在留カードの確認

在留資格の種類(永住者・定住者等)と有効期限を確認します。期限切れの場合は就労不可となるため必ず確認してください。

Step 2

雇用契約・社会保険手続き

日本人と同じ条件で雇用契約を締結し、社会保険・雇用保険への加入手続きを行います。

Step 3

ハローワークへの届出

外国人を雇用した場合は、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が雇用保険加入の有無を問わず義務付けられています。

Step 4

CCUS登録・就労開始

CCUSへの技能者登録を行い、現場タッチを開始します。現場作業員の就業履歴管理として重要です。

外国人雇用状況の届出は全員必須:外国人を雇用した場合(在留資格の種類を問わず)、事業主はハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が義務付けられています(雇用対策法第28条)。届出を怠ると30万円以下の罰金が科される可能性があります。

まとめ

外国人を建設業・電気工事業の現場作業員として採用するためには、在留資格の確認から始まり、JAC加入・CCUS登録・受入計画認定・支援計画策定・在留資格申請と多くの手続きが必要です。特定技能の場合は最低でも4〜6か月の準備期間を見込む必要があります。また「技人国ビザでは現場作業に従事させられない」という大前提を忘れずに、在留資格と業務内容の整合性を必ず確認してください。外国人採用を検討している場合は、早めに専門家へご相談ください。

当事務所の強み:当事務所の代表行政書士は第三種電気主任技術者・第一種電気工事士の両資格に加え、「外国人雇用労務士(外労士)」(一般社団法人全国外国人雇用推進機構認定)を保有しています。電気工事業の現場知識と外国人雇用の専門知識を兼ね備え、採用前の在留資格確認から在留資格申請・定期届出まで一貫してサポートします。また、登録支援機関とも連携しており、支援計画の策定・実施を自社で行うことが難しい場合も、登録支援機関の紹介・連携を通じてワンストップでサポートすることが可能です。
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